疑問系なのは巻末の注釈者解説をまだ読んでいないから。
とはいえ、本編は読み終わったので一応読了ってことに。
「フラットランド」というのは非常に古い著作で、なんとヴィクトリア朝時代に書かれたもの。
そんな古典なので著作権なんて遙か彼方。
あまりにも古いので著者というか、作者の時代に出版された版てのは流通していません。
そのかわりと言ってはなんですが、「『フラットランド』は素晴らしい!」と喝采する数学者の方が注釈を入れたものが出版され…そして翻訳されています。
内容的にはSFの走りなんですが、数学的に不正確な記述が少ないという特徴があります。
それもそのはず。
作者は教育者で、シェイクスピア研究の専門家で、ユークリッド幾何学の素養がある−というか古典研究の為に大学院へ進むための資格をパスできる程度ー聖職者です。
ヴィクトリア朝時代にしてはずいぶんと現代よりの意見の方でこの「フラットランド」には同時代の人々に対して「君たち頭固すぎなんだよ!もっと柔軟に考えようよ!」というメッセージが込められているらしいです。
「フラットランド」は超ひも理論系の著作で引き合いに出されることのある作品で、それもそのはず。
どうやら11次元の世界に住んでるらしいが4次元の膜に閉じこめられてるので余剰次元を感じられない我々についてのアナロジーが出てきてるんですね。
この本の主人公はスクエア(正方形)氏。
3次元の世界に住んではいるものの2次元の中に閉じこめられているため3次元目を感じられない人物(?)が一人称で語る形式になっています。
彼が次元を旅して、そしてどうなったの?というのがこの本です。
そして、旅はできていませんが、4次元以上の高次についての言及もあります。
この作品が書かれた時代は4次元がブームだったそうで。
ブームという言い方もおかしいですが。
そういう物が取り上げられ始めた時代なんだよ、ということが注釈者によって記載されているので時代背景が透けて見えることにより楽しみが増える感がありますね。
ウェルズ(「タイムマシン」の作者)も同時代の人で、また間接的にこのフラットランドから影響を受けている可能性が高い理由も書いてあったり。
作品自体ももちろんのこと、注釈も興味深い話が多く2倍楽しめる本ですね。
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