ノベルとライトノベル(とノンノベル)は一体どこが違うのか?という話し。
そろそろまじめに記事を書きましょう。
ところで、ルールブックはプレイする寸前にならないと開くことさえしなかったりしますよ。
と、本文始まる前に閑話休題いれてと。
このテーマも気をつけないと言葉の齟齬が起こるので最初にきちんと定義することから始めましょう。
まずノベルについて。
おなじみ広辞苑第4版君をひくと
物語。(長編)小説。
とあります。
これじゃあまだ分かりませんね。
では物語はというと
1)話し語ること。また、その内容。よもやまばなし。談話。
2)作者の見聞または想像を基礎とし、人物・事件について叙述した散文の文学作品。狭義には平安時代から室町時代までのものをいう。大別して伝奇物語・写実物語または歌物語・歴史物語・説話物語・軍記物語・擬古物語などの種類があり、「日記」と称するものの中にはこれと区別しにくいものもある。ものがたりぶみ。
3)人形浄瑠璃・歌舞伎の時代物で、主役が思い出・心情などを語る場面、またはその演出。
とあります。2番がだいぶイメージに近いのではないでしょうか。
後者の小説はどうでしょう?
1)市中の出来事や話題を記録したもの。
2)文学の一形式。作者の想像力によって構想し、または事実を脚色する叙事文学。韻文形式だけでなく、語り手が物語るという形式からも自由となった、市民社会で成立した文学形式。古代における伝説・叙事詩、中世における物語などの系譜を受けつぎ、近代になって発達、詩に代わって文学の王座を占めるに至った。
二つを見比べる限り、小説というのは物語の子孫のようですね。
上のことから、ノベルという単語について、次のように定義します。
ノベル:平安時代から現代までの作であり、人物・事件について事実を脚色もしくは作者の想像によって構成される文学。
では次にライトノベルとノンノベルについても同様に…と言いたいところなのですが、この二つの単語は広辞苑には載っていませんので、他の方法で定義しなくてはいけません。
ノンノベルについては載っていないのもあたりまえで、これは祥伝社のジャンル分けの一つ。
”ノン”は否定の接頭語ですから、ノンノベルは次のように定義しても差し支えはないと考えます。
ノンノベル:現代の作であり、人物・事件について作者の想像によって構成された文学に加えるにはいたらない叙事・散文。
ライトノベルについてはWIKIの記事に色々書いてありますがややこしくなるだけなので、ノンノベルと同じようにライトの語義から定義していきましょう。
ライトノベル:平安時代から現代までの作であり、人物・事件について事実を脚色もしくは作者の想像によって構成される文学であるが、ノベルに比べて手軽なもの。
なんだか上で3つの単語を定義しただけで結論が出た気がします。
ノベルの中で手軽で読みやすいものがライトノベルなんじゃあないでしょうか。
両者に差なんてものはそもそもなくて、ノベルの中の(伝奇ものなのか、歴史ものなのか、ノンフィクションなのか…と同列の)分類の一つなのでしょう。
だからこそ、巷でライトノベルの定義が明確ではなく”枯れた”言葉にならない限り掲載されない広辞苑に記載がないのでしょう。
ノンノベルは比較するまでもなく、上で”文学ではない”と定義しましたので、明確な差が出ていますね。
もっともこの分類は売り手の「構えて読むようなものじゃあないですよ。気軽に手にとってください。」というメッセージなのだろうと考えます。
…とはいえ、そもそもノベル自体が構えて読むようなものじゃあない気がしますが。
大体にして、古典文学である源氏物語や竹取物語など平安期の物語文学は、その当時では女子どもの読み物であり、更に言うなら女は物語を読むような暇があるなら写経しろと言われるような位置づけだったわけです。
つまるところ現在の漫画と似たような位置づけ。
上で手軽に読める…なんて書いていますけれども、どの程度のものまでが手軽に読めるかなどというのは個人の能力に依存する部分が大きいわけですから、絶対的なものさしなど存在しません。
シェイクスピア・サガン・ドストエフスキーなら手軽に読める、という人もいるでしょう。
江戸川乱歩でもハードルが高い、という人もいるでしょう。
ものさしを作ろうという方が無理というものです。
ですから、ライトノベルとノベルの差はないというのが私の結論。
ですので、文学関係の賞を受賞したからといって、作品に影響はないんじゃない?というのがこちらへの思うところなのでした。
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ライトノベルかどうかは手軽に読めるかどうかという主観であるというお話でしたね。ある作品をラノベだと受け取る人も一般小説だと受け取る人もいると。
作者は受賞いかんに関係なく好き勝手に書いているだけで、ジャンルを決めているのは読者であるという感じでしょうか。
そういう作家の人もいると思うのですが、桜庭一樹に関してはそうでないらしいんですよね。ネタはいろいろ思いつくらしいのですが、その中でこれはラノベ用、これは一般小説用と分けて書いていたみたいです。”ゴシック”のあとがきに書いてありました(たぶん)。
で、受賞後は一般書のネタしか浮かばない病にかかって苦しんでいるようですよ。
作者が一般書だと思って書くと(編集の意図もありますが)、ハードカバーででて、表紙の絵もすこし高尚な感じになり、出版元のレーベルでラノベかどうか判別しているファンからは、やはり遠ざかりそうな感じが僕にはしますよ。
まぁ桜庭一樹に関しては一般小説の業界のほうが彼女を高く評価したし、そっちにいったってことでしょうかね。まぁそれをライトノベルとして読める人もいると思いますが、そうでないラノベファンは離れるということに…。
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というのももちろんなのですが、もっと言ってしまえばノベルだって身構えるような高尚なものじゃあない、というところでしょうか。
何冊かしか読んでいないですが、桜庭一樹の作品は登場人物の年齢が低いだけで村上龍やその辺りと内容的には変わらないと感じましたね。
> 出版元のレーベルでラノベかどうか判別しているファンからは、やはり遠ざかりそうな感じが僕にはしますよ。
これについては「推理小説しか読まない人」「怪奇小説しか読まない人」「歴史小説しか読まない人」と同列で「ライトノベルレーベルから出ている本しか読まない人」というだけだから考慮しなくても良いと思うのですけどね。
いろいろなレーベルから本が出ればそれだけ読者層は増えるとおもうのですよ。
「ライトノベルレーベルから出ている本は読まない人」とかとくに。